top of page
執筆者の写真柳澤 達維

内部通報制度の重要なポイント

更新日:2024年12月6日

内部通報制度について、その見直しや課題については、多くの見解があると思います。

ただ、私個人としては、この制度を「企業価値向上」に資するようにするためには、一つの重要なポイントがあると思います。

まず、事実認識として、これまでの内部通報に関する問題の多くは、社内で大きな権限を持った人と、それに不満を持つ人との「人間関係」に起因する、ということです。どうしても報道面では「権限を持つ人」のパワハラ等の違法行為と不利益な処分に焦点が当たりますが、「企業価値」を考えると、なんで「そんな不毛な争いをしているのか」と疑問に思います。

たとえば、オーナー経営者のセクハラorパワハラが絶えない、などというのも、本来なら周囲の人が、行為者に対して「納得して行いを改める」ようにし、被害者に対して「納得して仕事に集中できる」ようにするのが理想です。簡単ではないにしても、社内の雰囲気を悪くし、レピュテーションを落とし、多くの労力を浪費するよりはマシです。そのためには、社内の人間関係の問題になる前に、双方のメンタルケアの観点から解決を図るべきです。

次に、このような理想形と比べて、内部通報制度に必要なポイントはなんでしょうか?

それは、通報窓口や調査担当部署などにおいて、メンタルリテラシーを高め、通報動機や通報対象の背景にある人間関係について十分な洞察を踏まえた対応を行う、ということです。これによって同時に職場の不満や風通しの悪さも同時に改善し、生産性向上につなげていく、という前向きな対応が必要です。

どうしても、通報事案が起こると、通報者もメンタル的な不安を抱えますし、行為者も(通報内容が妥当かどうかに関わらず)葛藤を抱えます。これらに十分配慮したうえで、本質的な課題を解決するようにしないと、仮に通報対象となる法令違反等が解消されても、根源的な当事者間のわだかまりが解消されず、職場の雰囲気を悪くし、生産性を低下させ企業価値を棄損することになるのです。

様々な内部通報に起因する諸事案をみていると、形式だけ内部通報制度を導入しても有効に機能しない原因は、この点が大きいと思います。制度的な刑事罰の導入等、あえて反対はしませんが、そこが問題ではなく、あくまでも、企業価値を高める(職場の心理的安全性を確保し生産性を向上させる)ために、内部通報制度をネタに社内のメンタルリテラシーの向上とその活用が必要だと思います。内部通報をめぐって自死などが起こらない社会にならないといけないと思います。


通報者、行為者に寄り添った対応を

閲覧数:10回0件のコメント

関連記事

すべて表示

Comments

Rated 0 out of 5 stars.
No ratings yet

Add a rating
bottom of page