不祥事案が発生したときに、監督官庁は非常に重要な存在となる
行政の立場から考えると、行政の行うことは「無謬」であることが暗黙的に求められているので、所管業界の企業で不祥事案が発生すると、行政当局は、政治や世論からは「ちゃんと指導していなかった」と突然、批判される
今回の件では、
1.そもそも報告が遅い
2.指示した報告がない、間違っている
と行政から言われている
(そう言われる以上、上記のような迷惑をかけられた、と思われている可能性が高い)
自分の経験から考えると、医師からの問い合わせが来て健康被害の可能性を認識した段階で、所管官庁に「相談」し、「情報を共有」し、どのような調査をするか、どのような調査結果が出たら製品回収や謝罪をするか、といったことの報告・相談・調整・根回しを行い、適切なアドバイスや、行政内での情報共有が行われていることが「理想形」だったといえるだろう
(例えば金融庁は長い経験からこのような対応がスタンダードになっているのではないか)
そうであれば、今回の件で会社が「原因が明確に特定できる前に製品回収し被害が確認されればその補償を行う」ことを表明し、行政が「原因が特定前であり冷静な対応と報道」を呼びかける、というシナリオもあったのではないか
これができなかった理由を仮説として挙げると
1.(会社が)普段から行政との連携を行っていない
2.(会社が)過去の製品回収事案等の経緯から信頼関係が築けていない
3.(行政が)相談があっても適切なアドバイスができる体制になっていない
等が考えられる
行政リスクとは、このような理想形から外れた企業・行政の対応が行われ、不要な信用失墜や行政処分など企業価値を棄損するリスクをいう
これをミニマムにマネジメントするには、企業は、「行政の立場」をよく理解し、信頼関係を築くように対応すべきだろう
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