不祥事対応で重要なのは「平時」から「有事」に移行するタイミングを見極めることである。これがだれにも明確にできる場合と「ぬるま湯」のように判然としないケースがある
今回の健康被害事案に関して、調査報告書と記者会見から、おおよその時系列でのポイントとなる点と、「有事」への移行点をまとめてみた
2023.12:紅麴の生産工場を大阪から和歌山へ移転
2024.1.15:九州の病院から問い合わせ
2024. 2. 1:関東の病院からの問い合わせ 症例が稀にもかかわらず、直近 1~2 か月で 3 症例が発生(本製品使用者)
<翌日招集、翌々営業日 臨時会議開催 原因究明を開始>
「平時」→「有事のおそれ」へ移行
2.6(社長)2.13(専務、常勤監査役)2.14(会長)2.16(社外監査役)に報告
2024.3.15:同社研究所により「意図しない成分が含まれている可能性」調査結果
「有事のおそれ」→「有事」へ移行
<翌営業日に会長・社長以下の緊急会議→公表に向けて準備開始>
2024.3.22:公表の繰上げ指示→臨時取締役会→公表
公表が遅かった点は、上記から「異物混入」の調査結果がもっと早ければ、それだけ「有事」への移行を早くできたことが明らかである
この点は、調査の指揮をセカンドラインが行っており、サードラインや監査役・社外役員がアドバイスをできていれば、「満点の対応」というべきだが、これは後講釈である
そのためには、それなりの業務知識も必要だし、執行部門の判断内容に異議を唱えることなので、相当の確度が求められる(機能性食品 健康被害)「有事のおそれ」になった時、社外役員はどうすればいいか (syagaits.co.jp)
「社外役員がなにをすべきだったか」の一つは、監査部門とともに執行部門の行動をモニタリングして、必要に応じて対外的に「消費者の安全を最優先に社内での調査・検討が適切に行われていた」と説明できるようにしておくことだった、と考える
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